トリガーポイント鍼灸

トリガーポイントとは?

筋肉の中にある、硬く、押すと痛みが出る小さな部位のことです。押したときに、離れた場所に痛みが広がる(関連痛)ことがあるのが特徴とされます。たとえば、お尻の筋肉の硬結が、太ももの裏の痛みとして感じられることがあります。

臨床では広く使われている考え方ですが、触診でトリガーポイントを見つける方法の再現性(誰が触っても同じ場所が見つかるか)は十分に確かめられておらず、その成り立ちについても専門家の間で議論があります。当院では、こうした限界も踏まえたうえで用いています。

研究でわかっていること・まだわかっていないこと

わかっていること

  • 首・肩・腰など、筋肉の痛みに対して、短期的に痛みが軽くなったという報告がある
  • 研究の多くは、施術直後〜数週間程度の変化を調べたもの

まだわかっていないこと

  • 偽の鍼(刺さない鍼など)と比べた差は小さく、研究の質にもばらつきがある
  • 長期的な効果
  • 頭痛・疲労・自律神経の不調・競技パフォーマンスへの効果

当院での位置づけ

トリガーポイント鍼灸は、それだけで痛みを治すものではありません。当院では、痛みや筋肉の緊張を和らげて、運動療法や日常動作の見直しを進めやすくするための補助として用いています。鍼が苦手な方は、鍼を使わない施術も選べます。

用いることが多いもの

  • 筋肉の張りや押したときの痛みが関わる、肩こり・首の痛み
  • 筋肉の張りが関わる腰の痛み
  • スポーツでの筋肉の使いすぎによる痛み
→ 肩こり・首こり → 慢性腰痛 → 症状別ページ一覧

先に医療機関をご案内するもの

  • しびれや力の入りにくさが主な症状の場合
  • 強い腫れ・熱感がある、安静にしていても強い痛みが続く場合
  • ケガのあとで、骨折が疑われる場合
  • 発熱や体重減少など、全身の症状を伴う場合

施術の流れ

STEP 1
問診・評価
痛みの出方と動作を確認
STEP 2
触診
押して痛む部位・痛みの広がりを確認
STEP 3
刺鍼
深さと刺激量を調整して刺鍼
STEP 4
再評価
施術前後の動き・痛みを確認

安全性と副作用について

使用する鍼はすべて滅菌済みの使い捨てです。施術後に、だるさや眠気、刺した部位の軽い痛み、小さな内出血が出ることがあります。多くは1〜2日で落ち着きます。

胸や背中、首の付け根の近くでは、まれに鍼が肺に達して起こる「気胸」という重い副作用が報告されています。当院ではこれらの部位で刺す深さと方向に注意し、安全上の配慮が必要な部位には鍼を用いず、物理療法機器で代替しています。また、鍼に不安を感じる方にも、鍼を用いず物理療法機器で代替するよう努めています。遠慮なくご相談ください。施術後に息苦しさや胸の痛みが出た場合は、すぐに医療機関を受診し、当院にもご連絡ください。

血液をサラサラにする薬などを服用中の方、妊娠中の方、持病のある方は、事前にお知らせください。

ご不明な点はお気軽にご相談ください。LINE・お電話でもご予約いただけます。

よくあるご質問

Q. 普通の鍼とどう違うのですか?

A. トリガーポイント鍼灸は、筋肉の硬く押すと痛む部位に着目して刺鍼する方法です。痛む場所と、硬結のある筋肉が離れていることもあるため、触診と動作の確認をしてから刺す場所を決めます。

Q. 「ズーン」と響く感じがすると聞きましたが、痛いですか?

A. トリガーポイントに鍼が届くと、独特の重だるい感覚(響き)が出ることがあります。痛みの感じ方には個人差がありますが、刺激量は調整できますので、施術中に遠慮なくお伝えください。

Q. 痛い場所と違うところに鍼を打たれました。なぜですか?

A. トリガーポイントは、離れた場所に痛みを感じさせる「関連痛」を起こすことがあるとされています。たとえば、お尻の硬結が太ももの裏の痛みとして感じられることがあります。そのため、痛む場所ではなく、関わっていると考えられる筋肉に刺鍼することがあります。

Q. 施術後にだるくなることはありますか?

A. 一時的なだるさや眠気が出ることがあります。鍼灸でみられる軽い副作用の一つで、通常1〜2日で落ち着きます。強い場合や長引く場合はご連絡ください。施術当日は、激しい運動や長時間の入浴は控えてください。

Q. どんな症状に向いていますか?

A. 筋肉の張りや押したときの痛みが関わる肩こり・首の痛み、腰の痛み、スポーツでの筋肉の使いすぎによる痛みなどに用いています。すべての痛みが筋肉に由来するとは限らないため、初回の評価で、鍼が適しているか、先に医療機関の受診が必要かを率直にお伝えします。

※ 症状の経過や効果の感じ方には個人差があります。診断・治療が必要な状態と判断した場合は、医療機関の受診をご案内しています。

参考文献

・Tough EA, et al. Acupuncture and dry needling in the management of myofascial trigger point pain: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. Eur J Pain. 2009;13(1):3-10.
・Gattie E, et al. The effectiveness of trigger point dry needling for musculoskeletal conditions by physical therapists: a systematic review and meta-analysis. J Orthop Sports Phys Ther. 2017;47(3):133-149.
・Lucas N, et al. Reliability of physical examination for diagnosis of myofascial trigger points: a systematic review of the literature. Clin J Pain. 2009;25(1):80-89.
・Quintner JL, et al. A critical evaluation of the trigger point phenomenon. Rheumatology. 2015;54(3):392-399.

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